「パパさ~強盗に合っちった。でへ。」クソおやじの話。
私の父は、良いやつだが、
自由過ぎて、ノー天気過ぎて、結婚してはアカンタイプ。
普段は、家族の住む家ではなく、
自分で勝手に買った港区のマンションで、
愛人の女性と暮らしていた。(←これフツーじゃねーからほんと)
ある時、一週間ぶりくらいに父から電話がかかってきた。
父の電話の声が弾んでいる。
「お、とら子?
パパさー、強盗に合っちゃった!
あーっはっは凄いでしょ!(←は?)
今警察署から出て来たところ。
色々聞かれちゃったよー。
明日の新聞に載るらしいから見てみて!
何部かまとめて買っておいて!記念にとっとくから!」
当時私は小学生。
父はとうとう頭おかしくなったんか、と思ったが、
実際に強盗に合って、
とっさに戦って、
その場で犯人をとっ捕まえたらしい。
一人で、二人も。
父は無傷。
悪運が強い。
「あ!強盗だ!と思った瞬間、頭の毛が全部逆立ったよ!
猫っ毛なのに。
あーっはっは(←面白くねーよ)
右手で紙袋、左出て犯人の右手を押さえてさ~」
武勇伝を延々聞かされる。
時はバブル。
現金が当たり前だった時代。
どうやら、銀行で下した現金(1,000万以上)を
紙袋に入れて歩いているところを襲われたらしい。
父は言う、
「あのね、高そうなバッグに大金を入れたらダメなの。
いかにも「お金入ってます」って言ってるようなもんでしょ」
いや、おまえ紙袋で襲われてるじゃんよ。
しかも、強盗との戦いの最中、
紙袋は破れて、
辺り現金が散らばって、祭り状態だったという。
バカヤロー過ぎて、笑うしかない。
こんな中で、私は育った。
よって、世の中の大抵の人間が素晴らしく見える、
というありがたいお話です。