出産物語①「尿漏れじゃなくて破水です。」フルメイク香水付きで分娩台へ上がった妊婦。
出産予定日まであと2週間。
ぼちぼち入院準備しておくかな。
着替えやタオル、本や化粧水などをバッグに詰め込む作業だけではない。
出産したら子育てでしばらく会えなくなる友達に会っておく、しばらく行けななくなるレストランに行っておく、なども大事な準備なのだ。
その日、私は友達とランチに行く約束をしていた。
念入りにお化粧、マスカラもばっちり。
お気に入りのピアスをして、香水までつけちゃって。
ふと立ち上がると「ちょろ」。
あれ?何この感覚。噂の尿漏れか?
その後も部屋の中を歩くたびに、ちょろっ、ちょろっ。
トイレに行きたい感覚もなく、なんか変だな。
念のため、病院に電話をする。
すると
「あーそれね、前回の検診で、とら子さん子宮口少し開いてたから、たぶん破水だと思いますので、入院準備をして今すぐ来てください。恐らくすぐに出産になります。」
え?
「なるべく動かずに、股にタオルを当てて、今すぐタクシーか何かで来てください」
初産で2週間も早く出てくることもあるのか。
しょうがない、ランチは延期だ。(←それどころじゃないだろ)
母に電話をし(当時はまだ仲良かったから)、すぐ車で迎えに来てとお願いをした。
当時、車だと40分程度の距離。
15分後、母から電話。
「あのさー、美味しいトマトが安いんだけど、買って行こうかー?」
は?
買い物してんのかよ?!
今から入院するんだから要らねーだろ!!
「いや、要らないから早く来てー」
更に15分後、母から電話。
「トイレットペーパーが激安なんだけど、お宅はダブルだっけ?シングル?」
今度は薬局かよ!!
自分でタクシーで行けばよかった。
母の「陣痛が来たら私が連れて行くから必ず電話してね!!」
そんな言葉、無視すればよかった。
私が電話をして1時間半後、母は到着した。(おせー)
大量の野菜やら何やらを家に置いていく。
だから要らんっちゅーねん!
夫は料理しないんだから腐るだろがーっ!!
当時、私はまだ母に優しかったから、
「ありがとう、でも腐らせちゃうから持って帰って」と優しく断る。
ここから病院まで車で20分。
母「ちょっとガソリン入れていくわ」
私!!!
病院に到着後、すぐに診察、破水を確認、入院となった。
子宮口も5cm開いており(10cm開けば分娩「ハイ息んでー!」がスタート)、一般病室ではなく、いきなり陣痛室だ。
ここで確認。
私は友達とランチへ行く予定だった。
チャラチャラお洒落して、フルメイクで香水まで付けた状態。
その状態で急いで出産着に着替え、陣痛室へIN。
こんなにお洒落してくる妊婦はおそらく珍しいだろうし、相当気合の入った妊婦だったと思われただろう。
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