父「お前にはもう一人妹がいる」、私「知ってた」、父「え?」
父はある時期から、愛人と住んでいたマンションを出て(気前よく差し上げたそうで)、新たに買ったマンションで楽しく一人暮らしをしていた。(←また勝手に)
俺が稼いだお金だも~ん自由に使って何が悪い、と思っている男を父に持つと、こういう事には驚かなくなる。
ノー天気で明るい父だけど、彼は子どもにずっと言えなかったことがある。
私が20歳を過ぎてから、時々父と2人で飲みに行くようになった。
父はそこそこサイテー男だし、偉そうなことを言える立場じゃないのは自分で分かっているので、何かを相談しても、理想論や建前ばかりではなく、人間味のあるアドバイスが返ってきた。
なぜか私の男友達から絶大な人気があった。(←?)
というのも、
「お前(私)の男友達をうちに連れてこい!」と言って、学生ではとても飲めない高級なお酒をたくさん用意して、「男は美味しいお酒を知っておけ。」と言いながら朝までうちで飲むということがしょっちゅうあった。
そういう時は母も朝までフル参加。
ある日、いつものお店で2人で飲みながら、ふと父は少し真剣な顔をして、
父:「実は、お前には、もう一人妹がいるんだ」
私:「知ってる。」
父:「…え?!いつから?」
私:「小学生の頃から」
父:「え!!そっか…ママが話したのか…ママは悪くないんだ」
私:「違う。知らない女の人から電話が来て、家に誰もいなくて私が出て、その時に「あなたにはもう一人妹がいるのよ」って言われた。」
父:「え”---!!」
私:「その電話のことは誰にも言ってないよ。ママにも。小学生ながら、言っちゃダメなのは分かったんだよね。妹についても知らないふりを通してきた。子どもの私にはちょっと重かったけどね。でも、もう知らないフリをしなくて済むのね。」
父:「そうだったのか…。シャンパン開けようぜ。」(←?)
ピンドン(←チャラい選択)を飲みながら、初めて心をパンツ一丁にした親子の会話は続く。
深夜の六本木。
小さい頃から家族で通っているお店。
私:「どんな子なの?」
父:「とってもいい子だよ。お前によく似てる。頭も良くてな。ピアノが上手いよ。」
私:「パパのピアノの才能は、その子が受け継いだのね。」
父:「お前に会ってみたいって言ってるよ。」
私:「そう。いつか、ね。」
私たちが寂しい思いをしてきたこと、
母の泣き顔を見るのが辛かったこと、
プレッシャーが重かったこと、色々話した。
父はしんみりした顔で聞いていたけど、翌朝には忘れてるんだろうな。
アイツはそーゆーやつだ。
ま、こんな夜もありました。
長瀬君のドラマ『俺の家の話』で、「じゅげむが実は弟だった!」という話があったけど、私的には「こういう事、あるよね~」くらいの感じだ。(何自慢だよ)
その後、私はその”もう一人の妹”と会うことになるんだけど、それはまた別に機会に。