グローバルな職場。会議室でお祈りする人たち。
以前、米国外資企業で働いていた時の話。
社員の3割超は外国人だった。
色んな国の人がいて、文化も宗教も様々。
一人は昼と夕方、もう一人は午前と夕方にそれぞれ別室でお祈りをしていた。
いずれの人も、部屋の一か所に美しい敷物を広げて、
一つの方向に向かって頭を下げ、身体を折り、時には転がる。
とても神聖な時間だということは、誰でも分かった。
特に、母国を離れ、日本で暮らしている彼らにとって、
このお祈りの時間は、非常に大切な時間だったんだと思う。
日本人は無宗教が多いというけれど、
人の”祈る気持ち”を自然と尊重できる文化を持っている。
彼らは会議室とか開いてる部屋でお祈りをしていたんだけど、
それを見た本部長が、
きれいな備品室の一角をお祈りスペースにしよう、と言いだした。
備品を動かし、壁を作り、きれいなお祈りスペースが完成した。
彼らはそれをとても喜んでくれた。
お金をかけたわけでもないし、難しい事でもなかったし、
彼らの大切なものを大切にしてあげたい、
という気持ちでやっただけ。
でも、海外で暮らしたことのある人ならわかると思うけど、
自分が母国で大事にしていることを、他の国の人に尊重してもらえたら、
それは何よりも嬉しい。
相手の大事なものを大切にし、尊重する。
とてもシンプルなことだけど、最も大事なことだと思う。